ジョーシスサイバー地経学研究所(JCGR)
ジョーシスサイバー地経学研究所(JCGR)が「サイバー地経学」の視点から発信するポッドキャスト。サイバーセキュリティ、地政学、経済・マーケット、各国事情に精通した専門家をゲストに招いた対談や、JCGRによる独自研究の解説を配信しています。毎月、第2・第4金曜日の朝に配信。
ジョーシスサイバー地経学研究所(JCGR)
有事に強い組織とは何か──政治学から考えるサイバー危機対応(竹中治堅 政策研究大学院大学教授 【前編】)
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サイバー攻撃や大規模障害が発生したとき、誰が意思決定を行い、誰が現場を動かすのでしょうか。
近年、日本では能動的サイバー防御(Active Cyber Defense)やセキュリティ・クリアランス制度、国家サイバー統括機能の強化など、サイバー安全保障をめぐる制度改革が急速に進んでいます。しかし、どれほど制度や技術を整備しても、有事に組織が動かなければ危機対応は機能しません。
そこで今回お迎えしたのは、日本政治と危機管理研究の第一人者である政策研究大学院大学教授・竹中治堅先生です。竹中先生は首相のリーダーシップや統治機構の研究を長年続けるとともに、経済安全保障に関する政府の有識者会議にも参画されています。
前編では、竹中先生の著書『コロナ危機の政治』を手がかりに、「なぜ首相権限は強化されたのに危機時には十分に機能しなかったのか」という問いを掘り下げます。コロナ禍で露呈した国と地方の権限構造、内閣官房・内閣府・デジタル庁の役割、そして危機対応におけるトップダウンと現場の関係性を整理しながら、サイバー危機への示唆を探ります。
また、国家サイバー統括機能や能動的サイバー防御の議論にも触れながら、日本のサイバー安全保障政策がどこまで進化しているのか、そして制度整備の先にある「組織」と「人材」の課題についても議論します。
サイバーセキュリティは技術の問題であると同時に、意思決定と統治の問題でもあります。本エピソードでは、政治学の視点からサイバー危機対応の本質を考えます。
■ ハイライト
・首相権限はなぜ強化されたのか──30年にわたる統治改革の変遷
・コロナ危機で露呈した「国は動けても現場は動かせない」構造
・都道府県知事・政令指定都市・東京23区が持つ意外な権限
・内閣官房、内閣府、デジタル庁は何が違うのか
・サイバー有事では誰が意思決定を担うべきなのか
・能動的サイバー防御と国家サイバー統括機能の現在地
・制度整備の次に必要となるサイバー人材育成
<ゲストプロフィール>
竹中 治堅(たけなか・はるかた)さん
政策研究大学院大学教授。東京大学法学部卒業後、大蔵省(現・財務省)に入省。プリンストン大学で政治学博士号を取得。日本政治、比較政治の研究と教育に従事。関心は首相の指導力、コロナ危機への対応過程、参議院の役割など。著作に『コロナ危機の政治:安倍政権vs.知事』『参議院とは何か – 1947〜2010』(2010年度大佛次郎論談賞受賞)『首相支配 —日本政治の変貌』など。政府の様々な政策に有識者として関わる。
■ 収録後記
サイバーセキュリティの議論では、どうしても技術や制度に注目が集まりがちです。しかし今回の対話を通じて強く感じたのは、「危機対応を決めるのは組織であり、人である」という当たり前で重要な事実でした。
コロナ危機、金融危機、そしてサイバー危機。対象は異なっても、不完全な情報の中で意思決定を行い、平時のルールと有事の現実の間で組織を動かさなければならない点は共通しています。
サイバー攻撃への備えを考える際にも、技術対策だけでなく、「誰が決めるのか」「どこまで権限を委譲するのか」「有事を想定した訓練をしているか」という視点がますます重要になっていくのではないでしょうか。
後編は7月10日に公開予定。
(JCGR編集部)